家庭養育支援機構 設立趣意書

子どもの権利条約及び国連子どもの代替養育ガイドラインにおいて、子どもはできる限り家庭的な環境において育つべきであるとされており、国や自治体はこれを支援する責任を負う。

 日本においては、平成282016)年の児童福祉法改正により、社会的養護下の子どもたちには里親や養子縁組などの家庭養育を優先する原則が法律に明記された。また、平成292017)年には新しい社会的養育ビジョンが発表され、愛着形成に最も重要な時期である3歳未満については概ね5年以内に、それ以外の就学前の子どもについては概ね7年以内に里親委託率75%以上を実現し、学童期以降は概ね10年以内を目途に里親委託率50%以上を実現するという目標が示された。2024年からは更なる児童福祉法改正により、里親支援センターが法定化される。

 里親や養子縁組の制度により、子どもが安全で安心で愛のある家庭で幸せに育つ社会をつくるためには、それを支える人材の育成や支援体制の拡充が不可欠である。これまで里親に関わる業務はおもに児童相談所が担当していたが、今後は全国の都道府県、政令指定都市等で里親支援センターが設置されることが想定され、人材の育成は急務である。

 そこで、私たちは、「家庭養育支援機構」を設立する。これは家庭養育を里親や養親とともに支え、子ども達に家庭での育ちを保障するために協働する人材のネットワークである。さらに家庭養育の普及啓発、地方自治体や里親支援センターに向けた研修やコンサルティングの提供などを行うことにより、社会全体で子どもが家庭で育つことへの理解がすすみ、里親・ファミリーホームや養親家庭により質の高い支援が提供されることを目指すものである。

主な活動は、以下を予定している。

 

1.地方自治体や民間団体への研修やコンサルティングの提供

2.人材育成とネットワークの構築 

3.家庭養育にかかわる普及啓発事業

4.里親支援センター等の家庭養育にかかわる民間団体の評価事業

5.家庭養育にかかわる調査研究

6.国や地方自治体への政策提言


家庭養育支援機構 規約

(名称)

第1.この団体は、家庭養育支援機構という。

 

(事務所)

第2.この団体は、事務所を埼玉県所沢市に置く。

 

(目的)

第3.この団体は、日本において、里親・ファミリーホームや養子縁組などの家庭養育にかかわる人材の育成と子ども達に家庭での育ちを保障することを目的とする。

 

(事業)

第4.この団体は、前条の目的を達成するために次の事業を行う。

1.地方自治体や民間団体への研修やコンサルティングの提供

2.人材育成とネットワークの構築 

3.家庭養育にかかわる普及啓発事業

4.里親支援センター等の家庭養育にかかわる民間団体の評価事業

5.家庭養育にかかわる調査研究

6.国や地方自治体への政策提言

7.その他必要と考えられる事業

 

(業務執行体制)

第5.この会に、会長1名、理事2名を置き、その任期は2年とする。また、業務遂行のため必要な職員は雇用する。

2)会長・理事は互選により任命し、再任を妨げない。

3)職員の雇用は、理事会の選任による。雇用条件については別途定める。

 

(職務)

第6.会長は、本会を代表しその業務を統括する。

2) 理事は会長を補佐し、これに事故ある時、または欠席の時は、その職務を代行する。

3) 職員は理事会の決定に基づき、会の運営等に必要な業務を行う。

 

(解任)

第7.会長または理事、職員が次のいずれかに該当するときは、理事会の議決によりこれを解任することができる。

2) 心身の故障により、職務の執行に耐えられないと認めるとき。

3) 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない非行があったとき。

 

(役員の報酬)

第8役員には、別途定めるところにより、報酬を支払うことができる。

2)前項に関し必要な事項は、理事会の議決を経て、会長が別に定める。

 

(理事会)

第9.理事会は会長・理事を持って構成する。

2)理事会は会長の招集によって開催され、構成員の3分の2以上の出席を持って成立する。

3)理事会は、会の執行に関する事項及びその他業務の執行に関し議決する。

 

(議事録)

第10.理事会の議事については、議事録を作成する。

 

(事業と会計)

第11.この会の事業年度は、4月1日から翌年3月31日とする。ただし、設立事業年度は、設立日から令和7年3月31日までとする。

2)この会の資産は、助成金、事業に伴う収入、その他の収入とする。

 

(事業報告書及び決算)

第12.会長は毎事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書、収支決算書を作成する。

 

(規約の変更)

第13. この規約の変更は、理事会が行う。

 

(解散)

第14. この団体の解散に伴う残余財産の処分は、この団体の目的に類似する目的を有する非営利法人に寄付するものとする。

 

(設立時役員)

第15. この団体の設立時の会長、理事は以下とする。

1)会長 上鹿渡和宏(早稲田大学教授/早稲田大学社会的養育研究所所長)

2)理事 橋本達昌(社会的養育総合支援センター一陽 統括所長)

3)理事 北川聡子(社会福祉法人麦の子会理事長)

 

(附則)1この規則は令和6年1月16日から実施する。